税理士の経営・財産・相続トピックスVol.091「頼りになる負債は大事な財産!」
新規事業のスタートから負債の質がどのように変化するか
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
4月は新しい年度のスタートです。新入学生、新入社員、新規事業、いろいろな事が始まります。気持ちも新たに次の一歩を踏み出す季節です。
さて、新たな一歩を踏み出す時は、たいへん清々しい心地です。
しかし、ふと冷静になって考えると、新たな一歩のとき時ほどお金はありません。
新たな一歩のときにお金が潤沢にあると、もっと気持ちが良いでしょうが、スタート時の懐は寂しいのです。
大学生の約半数は何らかの奨学金制度を利用していると言われます。
新社会人の生活は負債とともにスタートです。しかし、成績優秀な学生の奨学金は「質」が違います。
新規事業の立ち上げにおいては、資金が潤沢に蓄えられていることはほとんどなく、なんとか資金をかき集めての状態です。
財務諸表を拝見させていただくと、地理的に関係のない地方銀行や信用金庫とお取引されている法人を、見かけることも珍しくありません。
大阪の社長さんに、その取引の経緯をお聞きすると、「立ち上げのときにはどの銀行も貸してくれなかった。でもこの銀行(九州地方)の支店長だけが、『社長の事業の心意気に貸す』と言って融資が実行され、以来50年の取引」…といった事情でした。
今ではそのような取引は難しい時代でしょう。
しかしながら、現代においては別の形でそのような光景はあるかもしれません。
資金の調達は、資本か借入か。
借入は、長期か短期か。
金利は、高いのか低いのか。
保証は、必要か必要ないか。
形式的な取引基準を超える信用と信頼はどのように成り立つのか。
貸借対照表の右側(負債・資本)の質は変化します。
新規事業のスタートから負債の質がどのように変化していくか。
「難しい負債」の質から、頼りになる「頼もしい負債」に質が変化していくと資産の質も変化していきます。
負債に「組織の信用と力」が現れるのです。
負債の金額だけではなく、負債の質がどのように変化してきているか、そしてこれからどのように変化させることができるか。
頼りになる負債はいざというときに強いものです。
負債の質の変化に注目してください。
2021年4月1日
日本経営ウイル税理士法人
代表社員税理士 丹羽修二
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